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最高裁判所第一小法廷 昭和34年(し)44号 決定 1959年10月29日

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

所論は憲法違反をいうが、実質は要するに申立人に対する本案事件(併合罪)において、無罪となった事実についての未決勾留日数中、有罪となった事実の本刑に裁定および法定算入された部分を控除した残存日数についてのみ補償するとした補償決定を維持した原決定は刑事補償法第三条第二号の解釈を誤り且つ法定の最高額の補償を与えないのは失当であるというのである。されば、所論は、刑事補償法第一九条第二項所定の特別抗告適法の理由と認め難い。

(なお未決勾留は、本刑に算入されることによって、刑事補償の対象としては刑の執行と同一視せらるべきものとなり、も早や未決勾留としては刑事補償の対象とはならないと解すべきである。従って本件一、二審決定が本刑に裁定又は法定通算された未決勾留日数をも含めて全未決勾留日数を対象として刑事補償法第三条第二号に則り残存未決勾留日数だけを補償するとしたのは、結局正当である)

よって、刑事補償法二三条、刑訴四三四条、四二六条一項に従い、全裁判官一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)

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